スガシタの眼〜深層海流を読む 第96回 2006年05月23日
いやーな天候が続いている。関東地域もすでに梅雨入りしたかのように雨の日が多い。仕事柄、どうも雨の日は株価が下がるような気分になる。と考えるのは凡人の感覚。石田衣良さんなら、雨の日をテーマに素敵なラブストーリーを書き上げてしまうだろう。チョッと古いが「春雨じゃ 濡れて行こう」という幕末の月形半平太の名せりふもある。
さて、ここで気分転換に晩唐の詩人杜牧(とぼく)の清明(せいめい)という詩を紹介する。
清明の時節 雨紛紛 せいめいのじせつ あめふんぷん
路上の行人 魂を断たんと欲す ろじょうのこうじん こんをたたんとほっす
借問す 酒家は何れの処にか有る しゃもんす しゅけはいずれのところにかある
牧童遥かに指さす 杏花の村 ほくどうはるかにゆびさす きょうかのむら
解説
春の盛りだというのに、折からこぬか雨がしきりに降っている。その雨は道行く旅人である私の心をすっかり滅入らせてしまう。
「すまんが、酒を売る店はどこにあるのかな。」
すると、牛飼いの子が
「あっちのほうだよ」
と指さした。
その彼方には、白い杏の花咲く村が。
以上NHKカルチャーアワー「漢詩への誘い」から引用致しました。
中国の詩人ではこの杜牧が一番好きだ。なんといっても漢字の音が良いし、字句の色も良い。"雨紛紛"という音。"白い杏の花咲く村"という色。
蘇軾(そしょく)や李白(りはく)も良いが...。
さーてさて今回はだいぶ横道にそれたが株式市場のほうは相変わらず冴えない展開が続いている。新興市場は人気離散となって閑古鳥が鳴いている。しかし、言うまでもなく相場は山あり谷ありだ。昨年あたりから株式評論家やアナリストの大半が強気の大合唱となった。それまで万年弱気で有名だった外資系某アナリストまで、日経平均が5年以内に2万円になるなどと言い始めたところが当面の天井であった。こういう人たちが新興市場はもう終りだなどと言ってくれるとそろそろ底になる。
それまで、好きな作家の読書三昧でもして"天の時を待つべし"というところか。松本清張、司馬遼太郎、池波正太郎、渡辺淳一、林真理子、大沢在昌、石田衣良などまだまだ読みたい本がいっぱいだ。
その中からまず、
松本清張の「蒼い描点」新潮文庫
清張の代表作はほとんど読んだが時々好きな作品は書棚から取り出して再読している。「蒼ざめた礼服」というのも面白い。
次に先ごろ渡辺淳一氏の話題作「愛の流刑地」が新刊で発売された。
日本経済新聞朝刊に連載中にはひろい読みをしていたが筆者はやはり10年ほど前に連載された「化身」のほうが好きだ。
そこで久しぶりに「化身」を読み直してみた。
主人公の秋葉大三郎が京都から新幹線で帰ってくる冒頭シーンが懐かしい。ヒロインの八島霧子(やじま きりこ)という若い女性の描写が今読んでも新鮮だ、渡辺作品もかなり読んだが「メトレス愛人」、「北都物語」、「浮島」、「別れぬ理由」などが印象に残っている。
最後に新刊書では、
ピータータスカ氏の「ハゲタカの饗宴(きょうえん)」講談社インターナショナル
復刻版で「先物の世界 相場の張り方」鏑木繁著 パンローリング社
終り
追伸 5月22日早朝この原稿を書き終えたら、TBSラジオから生島ヒロシさんの声が聞こえてきた。丁度朝の5時だ。テレサテンの「別れの予感」が流れる。テレサテンの歌も大好きだがやはり夜、ホテルのバーでカクテルでも飲みながら聴きたいなぁーなどと思っていると朝の光が部屋いっぱいに射し込んできた。
(文中一部敬称略)
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