スガシタの眼〜深層海流を読む 第82回 平成17年10月28日
前回、著名なストラジスト(投資戦略家)のピーター・タスカ氏の2020年、日本の未来予測 3つのシナリオを紹介した。
久方ぶりにタスカ氏と会う機会があったので「今のニッポンをどう見ているか?」とお聞きしたところ、「改革がまったく進まず、デフレの悪循環で一方的に下降してゆくという最悪シナリオの可能性はほぼ回避されたのではないか」と言う。
そこで筆者が「2003年春頃の金融危機をピークに古いものが一掃され、新しい芽が出てくる。その芽はITベンチャーに代表されるパソコンオタクの台頭、つまりデジタル元禄時代到来のシナリオの可能性が高まったのか」と質問したら、タスカ氏は英国人らしくおだやかな表情で「確かにその可能性が出てきた。
しかしまだまだ水準が低い。つまり株価も最高値の3分の1だし、需要がまだまだ低い。
個人所得もさっぱり伸びていない。だからよけいなことをするとまた悪くなる」と青い眼でジッと遠くの方を見つめるように話す。
「よけいなこととは何ですか?」と聞いたら「長い間個人消費が低迷していた。
所得が増えていないから当然だ。
しかしここにきて景気の先行きが明るくなって、ようやく個人消費が回復してきている。それなのに早速消費税を大幅に上げるとか。サラリーマンの所得税を上げるとか取りやすいところから取る話ばかりだ。
増税するにはまだ2年早い。」というのがタスカ氏のご託宣であった。
もし政府が、景気が、本格的に回復していないのに大増税に踏みきったり、デフレ期待が終っていないのに日銀が量的緩和を解除したりすると、日本はまたまたデフレの罠に落ちこみ、タスカ氏の言う「長いサヨウナラ」すなわち、ゆっくりだが、長い長い下降トレンドになり、みんなが一緒に貧乏になる。
そして活力のないぬるま湯的社会になるという日本沈没の未来が待っている。
目前の東京株式市場は強力な外国人買いによって活況を呈しているが、果してこの勢いが2006年も続くのであろうか。直近のロンドンエコノミストは表紙に「THE
SUN ALSO RISES」“日はまた昇る”というタイトルで富士山を背景に日本特集号を掲載している。“日はまた昇る”か“長いサヨナラ”か、日本の政治、経済はいよいよその分岐点にさしかかろうとしている。
追伸
チョッと文化活動を報告すると、10月14日、マネックス証券銀座ソニービルにて「俊足成長株の見つけ方」と題して講話。
10月20日、東京農業大学の緑に包まれた世田谷キャンパスで「役に立つ、豊かになるための経済学入門」で90分講義。その後多くの女子大生に囲まれて食事会に参加。
10月21日は福岡で「今後の日本経済と株価の行方を占う」というテーマで地元の経営者たちの前で講演。その合間をぬってラジオNIKKEIでリサパートナーズの井無田社長のインタビュー録音。スカイパーフェクトテレビ766チャンネル「ワザあり!菅下清廣の株式道場」の収録。ダイヤモンドザイの取材や出版の打ち合わせをこなした。
次回はもっと楽しいイベントやパーティーのご報告を乞うご期待!!
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